「迷児」(加能作次郎)
「暗」の芥川に対して「明」の加能 「迷児」(加能作次郎)(「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 意気地のない子どもであった「私」は、七歳のとき、叔父に連れられ京都の祖母の家に行く。ある日、祖母の家から叔父のいる六条の...
「暗」の芥川に対して「明」の加能 「迷児」(加能作次郎)(「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 意気地のない子どもであった「私」は、七歳のとき、叔父に連れられ京都の祖母の家に行く。ある日、祖母の家から叔父のいる六条の...
本作品は決して悲哀物語ではないのです 「世の中へ」(加能作次郎)(「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 「私」は十三歳のとき、伯父を頼って京都へと出奔した。「今晩だけはお客さんにしてやるが、明日から丁稚やぜ」。伯父の...
百花繚乱の相を呈していた、大正期の日本文学 「日本文学100年の名作 第2巻 幸福の持参者」新潮文庫 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほん...
子どもたちに自然の驚異と恐ろしさを伝える 「少年と海」(加能作次郎)青空文庫 貧しい漁師の子・為吉は、「白山が見えるから暴風になる」と父親に危急を告げる。だが、忙しい父親は意に介さない。拍子抜けした為吉は浜へ降りていき、...
親子の「絆」とは 「百年文庫025 雪」ポプラ社 「母 加能作次郎」母が死んでから半年余りになる。此頃になって、頻りにその母の面影が懐しく偲ばれる。母は私には第二の母だった。母が継母だということを知ったのは、私が六つか七...
雪が、徐々に融け始めるかのような 「母」(加能作次郎)(「百年文庫025 雪」)ポプラ社 母が死んでから半年余りになる。此頃になって、頻りにその母の面影が懐しく偲ばれる。母は私には第二の母だった。母が継母だということを知...
これが家庭の原点だと思うのです 「幸福の持参者」(加能作次郎) (「日本文学100年の名作第2巻」) 新潮文庫 家計を堅実にやりくりしている妻の楽しみは虫の声を聴くこと。彼女は迷いながらもある日、草花屋から一匹の蟋蟀(...
少年の日の思い出をかくも美しく描出する 「乳の匂い」(加能作次郎) (「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 お信さんは 男と所帯を持つ許可を得るため、 養父に懇願するものの、 むなしく却下される。 お信さんの帰り道...